銅版画の技法の一つで、一番歴史の長い技法「エングレーヴィング」(通称ビュラン)の試し彫りをしている。刀を研ぐのが非常に難しいけれど、良く切れる刃物を使うと堅い金属を彫っているというより、柔らかいバターのようなものを彫っている感覚になる。この技法は大昔に彫金師によって使われた手法なので、現在みることの出来る作品は、超絶技法でつくられた息をのむようなものが多い。
今取り組んでいるのは、ビュランを使った素描のようなもの。この手法で彫られた線はとてもシャープな美しい。それを生かした緩やかでかつシャープな作品を模索している。
腐食と違って酸の力を使えないので、一つ一つ線を重ねる道筋は、まさに千里の道も一歩からという言葉がふさわしい。