朝日新聞を購読しはじめてから天声人語をまず最初に目を通す。時勢を鋭く切り取っている天声人語は、時に少し辛辣な気もするが、それ故に時勢を忘れた頃、過去のものを読むのは、まるでタイムカプセルを見るような気持ちになる。
5月9日(月)掲載の天声人語に書かれている記事を非常に重く受け取った。文末の「揺られながら祈る」という締めの言葉に、現在の日本の現状がそのままに描かれている。東京は、余震もすくなくなり計画停電もなくなり、地震のことはもう過去のことのような感じもするが、日本全体で考えると、まだまだ復興ではなく、復旧の最中で、荒波の中の小舟のような状態が続いているのだと、この記事を読むと思い知らされる。
リアルな揺れも、政局の揺れも、まだまだおさまりそうになく、いつまで続くのかも分からないが、一般市民は大海の小船に乗った乗客のごとく、ただその荒波の中で揺れが収まるのを祈るしかない存在なのだと痛感させられる。
「天声人語」、あまり好きではないが、実に考えさせられる切り口が多い。