僕は美術館より博物館とか図書館が好きで、旅先ではかならず博物館にゆくことにしている。絵は絵空事を描いているが、博物館は過去のリアルな時間の中で育まれた一種のタイムカプセル的な要素があって面白い。特にこれはどかからかっぱらわれて来たのかとよくよく歴史を調べてみるのも面白い。博物館は多かれ少なかれ、どこかから頂いていたものを展示しているだから。
その中で僕が特に注目している時代は、1000年から1200年位までのイタリア、フランスなどのロマネスク時代といわれる時代である。この時代は、キリスト教もまだ偶像崇拝が画一的ではなく、様々な地方で特色のある宗教美術が作られている。特に面白いのは、教会の柱の頭の部分に作られた柱頭彫刻や、木彫の聖人像である。特にこの木彫彫刻を見つけると感激するのである。
ヨーロッパでは、それ以前の時代に、ギリシャ文明やローマ文明で、とてもリアルな彫刻が製作されたにも関わらず、この時代にはヘンテコなユーモアさえ見て取れる彫刻が沢山製作された。その後ロマネスクの時代が終わりゴシック時代になると、また変にリアルな今で言うマネキンのような画一的な像が沢山製作されている。
まあそんなことはさておき、図書館をぶらりとあるいていると魅力的な本があったのでみてみると実に面白い。銅版画もその一種にはいるのだと思うが、錬金術図像大全とある。錬金術くらいインチキなものはなかったと思うが、当時は魔法使いのようにもてはやされたのだとうと思う。16世紀頃はこのような錬金術のことが、銅版画によって書籍としてまとめられるようになって来たので、今の時代も残っていて大変貴重な資料になっている。
美術大学の図書館にはこんな面白い本が沢山あって、ぶらぶらと見て回るのは本当に楽しい。