先日ある作家の展覧会を美術館で見た。若くして著名な作家だが、イラストレーションのような感じがしてこれまであまり興味が持てなかった。
ちょうど近くを通り掛かったので覗いているとイメージは一変した。本当に絵がうまいなあ。と、ある種の衝撃を受けた。そんな作品を見て、改めて自分のことを良く考えると、イメージを忠実に描くことより、粘土で、ものを作るように、コネてコネてイメージを作り出す方ことが好きなんだなあと思った。
僕の版画は、イメージを描くというよりコネて出来てきたイメージを自分に見せているのだと思う。まるで塑造をするように、版の上で付けたり削ったりしながら自分の脳内のイメージのフォルムに近づけていく工程を繰り返すことで作品として完成する。
描くことががきっと心底好きなんだということが、誰が見ても分かる展覧会を見て、自分は版画で塑造をしてるようなものなのだなあと、自分の事をみつめることが出来た鑑賞となった。