大学の大きな工房を右に左に歩いていると、いろいろな物が無造作に落ちている。そんな沢山の材料を見ていると、それだけイメージが沸いてくることもある。メゾチントの目立て機は相変わらずチンタラと動いているが、自動とは名ばかりで少し目を離すとすぐに暴れ出すじゃじゃ馬である。そんなことで、その機械から目を離さずに、いろいろ手を動かしたりアイディアを纏めたりする時間が長い。
卒業制作の提出用に、学生達が段ボールを一生懸命切っている姿を眺めていて、ふっとワークショップの新しいアイディアが閃いた。そうなると、すぐに作って見たくなる。大きなものをイメージしているので、まずマケット制作からスタート。紙とノリとカッター。単純な事務用品を使って組み立てる。イメージが呼吸に合わせて形になっていくのは本当に楽しい。制作者ならではの悦びだろう。
単純な小さな形を組み合わせて、作り手のイメージに合わせて大きくなったり形が変わったりする。提案者の限定したイメージではなく、作り手によって変化するイメージ。新しいイメージが、子ども達とと共に変化する様子を想像すると、なんだか楽しい気持ちになる。