版画協会の会報が完成して、年内に会員のみなさまのお手元に届けられることが出来た。年2回の発行となっているので、任期満了まであと2冊発行を担当することになっている。内容を考えるのがなかなか大変で、細々したことが沢山あるのだが、この会報制作を通じてこれまでお付き合いのなかった人と出会うことも出来、自分にとっての広がりとなって帰ってきたことは想定外の喜びでもある。
あるとき、小学校の地区委員さんに、大変なお仕事ですね。と声を掛けると、この仕事を通じて地域の多くの人と知り合いになれて楽しいですよ。と返されたことがある。どんな仕事も余計なことは面倒ではあるが、それはそれなりに気の持ちようで、本人に返ってくるのである。版画協会の仕事もこれと同様だと感じる。
年明けには、自分としては未知の領域の仕事がいくつか予定されていて、これまで以上の広がりが期待出来る。自分からなにも広げていないのだが、なにかと声を掛けて頂くままに進んだら、ついに自分の壁の外側に繋がったように感じている。アナログで制作することを突き詰めて行ったら、それがデジタル表現と繋がった。
次に取り組む仕事は、アナログ的な仕事をデジタルに置き換える、いわゆる写真やCGとしてのデジタルプリントとは全く異なる新領域の表現になる。これは僕の個人的な仕事ではなく、コラボレーションとしての仕事になるが、デジタル制作とアナログ制作のそれぞれの制作方法の利点を合致させた表現は、アナログでしか出来ない表現とデジタルでしか生み出すことの出来ないイメージを作り出すことが出来る。
発案者は天才肌の理系人なので、チームの一員として声を掛けてもらえて光栄だ。デジタル表現について、版画作家としていろいろ思う所があるが、来年取り組む方法は、僕にとってとても魅力的な表現方法だと感じている。来年は、これまでの仕事の結実にあわせて、また新しい広がりが生まれそうな予感がする。