急に暖かくなって、気温が18度になった。腐蝕液を使うにはとてもいい温度で、エッチングにいい季節になってきた。数日前までは、一日腐蝕液の中に入れておいてもあまり進まなかった腐蝕が、18度になると腐蝕液の中に40分入れただけでも、凹凸がはっきりと分かるほどになる。
エッチングの仕事で40分というのは結構長い時間になるので、その間に防蝕ニスがもろくなってはがれている。随分はがれてしまって、少し腐蝕が進みすぎてしまったようにも思うが、細かいことは気にせずに、またニスを塗って描き始める。どんな様子になるのか楽しみだ。
もともと、細いニードルで描くのはあまり好きではなかったが、先生をしている多摩美術大学生涯学習版画講座で、毎回いろいろな資料を見せる中で、マリオ・アバチのエッチングが気に入って、それから線の重なり合いで生まれる美しい描画スタイルを模索している。パリでオリジナルを購入したが、オリジナルに見るアバチのエッチングは不思議な線の使い方で、そこにすでに個性が強く感じられる。僕もそんな自分なりのスタイルを見つけたい。
今日のようないい天気の日は、エッチング日よりで余計な仕事があるとがっかりする。出かけるときに今日はエッチング日よりなのだけど・・・。と後ろ髪を引かれる思いで外出するのだが、今日は良い天気の中、朝からエッチングの仕事が出来て楽しい。