今日から土曜3回講座として
多摩美術大学生涯学習講座「コンピュータと銅版画」がはじまった。多摩美情報デザイン学科の久保田教授の研究からスタートした企画だが、フォトショップやイラストレーターで描く一般的なコンピュータ絵画のイメージと異なるアプローチで銅版画を作るというもので、講師を務める自分もかなり興味深く講座に参加している。
この講座で採用している方法は、久保田先生がすでに2014年に
「マテリアライジング展Ⅱ 情報と物質とそのあいだ」展で発表したものだが、情報と物質とそのあいだという言葉がぴったりで、見えない情報を、最古の情報ツールである銅版画を使うことで、物質を伴って可視化できることが面白い。
銅版画というと、作家の内面性を描く事で形にする表現を目にすることが多いが、このアプローチは自分を取り巻く環境に存在する見えない世界を、コンピュータの力で具現化することが出来る。銅版画にとって一つの新しい表現の形は、コンピュータプログラムの世界においても新しい実験の範疇に入ると聞いて、ハイブリッドな表現の可能性を僕も探って見たくなった。
楽しいことは、いつも新しい風が運んできてくれるように思う。
○写真は機械の練習として紙に印刷している所。