多摩美術大学生涯学習講座で開講中のスピットバイト技法とエッチング講座での作品が徐々に形になってきた。講座の方針として、内容に沿っていれば自由に考えて創ることを推奨しているので、同じ説明をしても様々な表現が生まれてくる。毎回どんな作品が出来てくるのか、はじまると楽しみになる。
今回は、早々とこれまでの経験を活かし、ソフトグランドを使用した版とスピットバイト技法を使用した版を分けて多色刷りを行った方や、参考図書として使用したリチャード・ディーベンコーンの表現を思わせる抽象表現の作品を作る方が出てきて想定外の驚きを感じている。
このような作品が、早々出来上がってきたのは、30x22cmという講座で行うには少し大きめの版を使用していることによって、伝統的な手法でのアクアチント散布などが上手くいかなかったことからの副産物らしい。失敗することを楽しむこと。無責任なようだが、いつもそのように話していることが、長い間で定着し作りながら考えた結果らしい。
失敗から考える。そして最終的に思っても見なかったようなものが出来上がる。今回はプログラムを提案した僕も思ってもいなかったような作品が出来てきた。これは僕にとっても発見であり、これまでで一番難しいプログラムにチャレンジしてみたことが、思わぬ形となって見えてきた。