厚紙にいろいろな素材を貼り付け版を作る。このような方法は概ねコラグラフとも呼ばれ木版画の領域に入ることが多いが、銅版画で作り出せるような表現方法を編み出し、作品作りを行っている作家もいる。
先日、版画協会会員の
大沼正昭氏の個展を拝見した。大沼さんはもともと銅版画で作品作りをしていたが、最近は紙版画での制作が多いらしい。作品をみると銅版画のアクアチントやソフトグランドで制作された表現のようなものもあり、ベテラン作家の創意工夫に驚くばかりだった。
会場には版も展示されていて、また作家本人からも丁寧に解説を伺うことができた。この方法で美術家連盟会館で講座を開催したばかりだという。惜しみなく自身の技法を教えていただいたので早速試してみることに。いろいろな方法があるが、僕はとりあえず紙の台紙にシールをひたすら貼る。微細な凹凸が出来たらスプレー糊を散布し、アルミホイルを貼る。その後軽くプレスする。
圧着した後、見事にアクアチントを施したような凹凸のあるマティエールができた。プレス圧やスプレー糊を散布する量で仕上がりは変化してくると思うが、あえて銅版画ではなくてはならない場合は、凹凸による表現を作り出すのに効果的な方法だと思う。出来上がった感じは感覚的に好きな感じ。これはちょっと面白い方法かも。大沼先生ありがとうございました。