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「弘法筆を選ばず」と言いますが、僕が知る限り、プロフェッショナルな作家が粗末な道具を使っているのを見たことがありません。どの作家も、それぞれの表現に合った珍しい特殊な道具を使っています。だからこそ、追随の出来ない作品を生み出すことが出来るのです。
最近の僕は、自分の新しい表現の探索のために、ビュランという技法の練習を毎日飽きずに行っていますが、このビュランという刃物は、研ぐことも、持つことも難しいのです。とても鍛錬が必要なので、現在ではその技法にチャレンジする人もあまりいません。僕も当然、大変なおもいをして、そんなことに挑戦しようなんて、これっぽっちも思っていないので、簡単に彫れるように道具を製作しています。写真のねずみのような形のものが、現在テスト中の、マウス君達です。要は簡単に彫れるように道具を改良すればいいのです。過去のフォームに捕らわれる必要がなければ簡単な話です。研ぐのも半分機械を使って行います。考えるのには時間が掛かりましたが、始まれば簡単なものです。 やはり道具がいいと簡単に彫れます。やっぱりお道具が肝心なのです。僕はしょっぱい大変なことは好きではありませんが、気長に研究するのは大好きなので、今はこのビュランの刃の実験をしています。いい鋼材で研ぎがいいと、写真のように銅がリンゴの皮むきをしているように削りとることが出来ます。ビュランの作品というと、ルーペでみるような繊細な作品をイメージしますが、僕は、シャープな線を美しく長く描ける道具として考えています。それにはこの道具はぴったりです。 いろいろな金属に触っていると、この金属がいいとか悪いとか分かるようになりますが、現在は販売されていない、フランスのビュランの鋼材は素晴らしいものです。この鋼材はパリの蚤の市で時間をかけて探し出したものです。マウス君2号はその鋼材で作りました。この道具が完成する頃には、伸びやかで美しい線の新しい作品が完成するような気がします。その作品は次回の個展で発表予定です。
by guruguru-kobo
| 2010-05-14 10:44
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