もう4ヶ月前になってしまうが、ひょんなことで知己を得た考古学者の方から預かっていた100年前の銅版画の原版をようやくお返しすることができた。江戸時代から明治時代初期の風景を描いた貴重な原版の修復と刷りを依頼されて早数ヶ月。ようやく刷り上がった銅版画には100年前の箱根の風景が詳細に描かれていて塔ノ沢の石を中心に描かれているらしい。その作品には考古学者の好奇心を充分に満足される要素が散りばめられているようで、その描かれた一つ一つのものを丁寧に説明してくれた。
その中で僕が気になったのは「温泉の引き戸」。多分実寸の大きさとして一間近い大きさで、柾目の扉になっている。今となってはちょっと考えられない大きさである。興味を持って聞くと、仙石原の地下を掘ると3000年前くらいの地殻変動で埋まった立派な杉が出てくるという。そう言った杉を掘り出して売っていたとかいないとか。絵の中にはそんな明治43年の洪水前の中国李山に勝るという過去の日本が閉じ込められている。
いろいろ面白い人達が画廊に来てくれるが、今日の夕方は本物の考古学者による個人授業になった。代わりに僕は江戸時代の銅版画家、亜欧堂田善の話をして江戸時代から明治にかけての銅版画について話すことができた。一つの作品を互い学術的見知からあれこれ検証出来たことはとても有意義な時間になった。本当のプロフェッショナルのお話はどんな職業の方でもぐっとくるものがあるなあと思うばかりである。
画廊には明日(日曜日)も午後1時より6時まで在廊します。是非ご来場ください。お待ちしています。
会場:ギャラリーアニータ
神奈川県座間市入谷4−1869−5
小田急線座間駅東口徒歩2分
会期:2010年10月14日ー26日(火)
午前11:00ー午後6:00まで 水曜日休み
在廊日:14/16/17/21/22/24/25 午後1時ー6時まで