趣味が仕事と言う人は実は結構多い。芸術家、研究者などの職業はその分かり易い一例に挙げられる。しかし芸術家の中には、作品に直接関係ないことでも、その道では知る人ぞ知る有名人だったりする人もまた多いように思う。
自身に至っては、仕事に関係することしか興味がないので、係わる全てが仕事であり、遊びでもある。例えば、展覧会の企画運営などはオセロや将棋のような頭脳ゲームのようなもので、最初に考えるプランニングにどこまで近づけるかだけのゲームのようなものだと思っている。そんな僕にとっては大がかりな展覧会の企画よりテレビゲームのオセロの方がよっぽど難しくイライラするのである。
最近お付き合いが出来たある作家は、昆虫採集が趣味だと聞いている。その世界では有名な方らしいが、まだ実物を見たことがないのでお誘いを受けている来訪を楽しみにしているのだが、彼曰く「いろいろな趣味が仕事を助ける」らしい。長い作家生活をされている方なので、説得力のある意見でもある。そういえば、魚釣りが作品制作よりも上手いのでは。と、自身でも語る巨匠作家もいる。やはり円熟するまで続けることが、一芸に秀でる秘訣らしい。
そう考えると、僕もすこしなにか趣味をもって長く続けて見たいなあといつも思うのだが、貧乏性なのかついつい趣味で始めたものが、仕事の一環になってしまう。久しぶりにいまはすっかり趣味レベルに落ちてしまった写真撮影をしてみたが、つい、1枚5000円で10枚で5万円か。とアルバイト時代を思い出して、つい、そろばんをはじいてしまうのでやっぱりいまでも趣味になりきらないらしい。
「いろいろな趣味が仕事を助ける」とは、まあこのことになるのだが、僕としてはやっぱり趣味は仕事ときっぱり決別した別フィールドでいつか持ちたいものだと、仕事だか趣味だか分からないカメラのシャッターを押しながら思うのである。