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展覧会シーズンもオンシーズンを迎えたのか、各画廊いい展覧会をしている。
新橋から京橋まで、頂いた案内状を頼りに何軒かの画廊を巡る。シロタ画廊で開催中の版画家の小林敬生展はカタログレゾネの出版記念ということもあり、回顧展のような展示になっていたが、毎年少しづつ工夫して制作をしていた様子がとてもよく分かる展示になっていた。最新作はデビュー当時からすると考えられないような柔らかい調子の作品に変化していて木口木版画のイメージを大きく塗り替えるようなものになっていたのが印象的。 養清堂画廊では、毎年40点近い新作を発表している海老塚耕一展が開催されている。早い物でもう400点以上のメゾチントの作品を制作していると思う。メゾチントの既成概念を大きく覆した作家の作品は毎年拝見するが、今年の作品はこれまでのものより大きな作品が出品されていて見応えのある展覧会となっていた。朝から在廊していた作家と久しぶりに版画について話をする。彫刻家としての制作見解が版画の制作と同次元で考えられていて興味深い話を聞くことが出来た。 Oギャラリーでは先日の手に取ってみる小さな版画展にも出品をして下さった、間宮 有里恵の個展が開催されていて、彼女らしい柔らかい印象の作品が並んでいた。一時期、木版画を研修したことが活かされているような、柔らかい印象の新作で、学生時代に制作したという作品とは表現の勢いが変化していると本人は話していたが、僕はいまの作品の方が個人的にはとても好き。 京橋にあるギャラリータイムではサイトウノリコ展を見る。ドライポイントで制作された最新作は池田満寿夫を彷彿とさせる切れのいい作品。子守が忙しくて・・・。と話していたが、少し制作から離れた彼女の作品はますます充実した切れのいい作品になっていた。本当に才能があるとは彼女のような作品を作れる人だと思うのは今も昔も変わらない彼女への評価となっている。 京橋の白銅てい画廊 で開催中のある画家のコレクション展-昭和を生きた5人の画家、それを見つめた一人の画家-池田満寿夫 駒井哲郎 長谷川潔 浜口陽三 浜田知明をみる。これは美術館でもみることの出来ない位の評価の高い作品が並んでいるので、本当に素晴らしい。特に長谷川潔の風景画、浜口陽三のメゾチントの静物画は「息を飲む美しさ」を持っていて、そのクオリティーの高さに唯々脱帽する。双方とも100万円は割らない作品なので、とても手元に置くことは出来ないが、出来れば手元に置いておきたいと思う作品であった。他のものもちょっと見る事が出来ないものばかりでとても一画廊の展覧会とは思えないものだった。 見終わって夕方、ある人から電話を頂いた。この展覧会を見たか?と。よっぽどみるべき展覧会として位置づけられていたらしい。 そういえば、茅場町で開催した初めての個展の時に、たまたま通り掛かったこの画廊のオーナーが、とても良いものをもっていると褒めてくれたことを思い出した。たった一人だけ褒めてくれたので嬉しかったなあという鮮明な記憶がある。当時は全く知らずにスルーしたけど、この画廊、有名な画廊だったんですね。学生というのは恐れを知らないもので・・・・。 今日はどれもそれぞれに深化した表現の作品を見て回ったように思う。そぎ落とされ深化した表現は好き嫌いは関係のないそれぞれに美しい表現だと今日はつくづく感じた。
by guruguru-kobo
| 2011-10-06 22:41
| 交友録
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