週に一度の先生業、多摩美術大学生涯学習銅版画基礎講座の新学期がスタートした。18人の定員に多くの方が応募してくださって、満員盛況にて初日を迎えることができた。版画工房を経営している方々からはなかなか難しい時勢で。と聞いているので、そんななか定数を超える方々の応募はありがたく嬉しい。
何度も初回を迎えているけれど、初回はいつも緊張する。はじめてお会いする方がたもたくさんいるので、どんな話をしたらいいのか、準備万端か。なんどもチェックしてトレーニングしても心配になる。普段一人でいることが多いので、突然人前で話すのは頭の回転を変えるようで難しい。初回はエッチングからはじめることになって数年がたつが、初心者の人に銅版画を分かり易く教えるのは何度迎えても試行錯誤の連続である。生徒のリアクションを見て一瞬の判断で話し方を変えたり、アプローチの仕方をかえるのは、経験もあるが、なにより観察力が問われるように思う。
初回は、珍しい日本の江戸時代の銅版画の歴史から紹介して、そのあとは銅版を磨いたり、煤をつけたりとまるで科学の実験のようなことをして一日を終える。この講座では、テキストを使用してかなりしっかりした基本を時間をかけて説明していくので、初めて聞く人は結構大変だろうなあと思うが、何事もまずは基本が大切と思って頑張ってほしいと思っている。
そんな火曜は午後1時から8時までほとんど通しで、銅版画の指導をしているので、立ちっぱなし、しゃべりっぱなしとなるので、かなりの疲れになるが、満足そうに、また嬉しそうに帰る姿を見送ると、今日もきちんとした仕事ができたなあ。と、ほっとして疲れも消えていく。
講座はあと29回。どんな一年間になるか今年もまた試行錯誤の連続だなあと考えることが多い日々がスタートした。