台湾国立美術館で開催中の台湾国際版画ビエンナーレのカタログが届きました。なんと景品でピンクの傘がついていました。賞状も立派です。展覧会の入選作を見ると、暗い絵が多いなあと正直思います。なんか暗いのです。心の闇を覗いているような作品群が掲載されているような印象です。
審査員のメンバーで随分と変わると思いますが、まあ何百、何千という作品の中から選ばれる作品なので、それ相当のクオリティーですが、その時々の時勢というのはなんとなく現れているように感じます。
版画以外の国際展の作品には、「あっけらかん」という印象の作品が多いように感じますが、どういう訳か版画の国際展には詩情あふれる、内在的なテーマを持った作品がそのほとんどを占めているように思います。
もちろん、版画のジャンルでも現代性のあるあっけらかんとした作品も沢山作られているのですが、そういった作品は、どういう訳かこのようなコンクールに出品されてこないのか、はたまた落選してしまうのか、カタログで見ることが少ないように思います。かつて開催されていた東京国際版画ビエンナーレなどの方がよほど、このような現代の絵画やデザインに近い作品が多く出品されて、また評価をされていたようにも思っています。
そういった意味で、このような世界各国の国際コンクールの情勢に目を向けて見ていると、現在の版画というジャンルの持っている特異性を見ることが出来るように感じています。