寒い時期は腐食が進まない。だから当然腐食の仕事をする時は、暖かい時期に集中してすることが多いのだが、寒い時期はその時期でしかできないマチエールができることもある。
今回は17時間古い液にゆっくりと入れてみた。古い薬品にゆっくりと入れてることでグランド少しずつ剥がされ、また侵食され、面白い具合に凹凸ができることがある。果報は寝て待てとはよく言ったものだ。
仕上がりが、どんなふうになってしまうかは展覧会が近いとドキドキしてしまうこともあるが、自分の手から離してどんなふうになってしまうかは楽しむのもまた銅版画制作の楽しみの1つである。そして僕の方法論の1つである。
自分の中の知らない自分をさがすこと。そして超えていくこと。あらためてそのことを強く思う日々がここ最近続いている。