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このブログに銅版画制作に関係することを書くと、アクセス数がぐっとあがる。それだけ銅版画に興味のある人が読んでくれているということで嬉しい。
そんなことで、反響の大きいメゾチントのこと少し書きたい。昨日書いた目立てのことだが、ベルソーという専用の道具を使って、銅板の上に細かい傷を付けることで、銅板の表面をヤスリ目のようにすることを目立てという。 このブログを読んでいる人には、そんなことは・・・。と思われそうだが、ではベルソーという道具にどんな種類があるのか正確に知っている人は少ないと思う。僕もすべてを知っている訳ではないけれど、知っていることを少し書いておこうと思う。 現在では、ニューヨークのEC LYONS社のものを使っている人がほとんどで、45番・65番・85番・100番という番目のものを使ってる人が多いと思う。幅は6.3cmを中心に通常は10cm程度までが多いだろう。幅の広い方が効率的だと思いがちだが、手で掛けるのには6.3cmが丁度良いし、それ以上は何かしらの器具が必要になると思うし手首に負担が大きい。ベルソーに穴が開いてるもそんなに昔のことでなくて、ここ20年位のことらしい。その穴に重りをつけて目立てすることが出来るが、国内で販売されていないし、重ければいいというものではないので、これも使用にあったっては用心が必要だと思う。 現在普通に購入できるものは上記のものだが、少し前の時代はこの番数と形が現在のものと異なっていたものもあり、会社も異なるメーカのものもあった。まあ現在でも日本にも独自のものがあり、スペインなどでも購入出来るものもある。メゾチントの作品で有名な浜口陽三は80番を愛用していたと書籍には書かれているし美術館に展示もしてある。この道具は日本で購入すると高価なもので、そんなことで普通は1本の道具で全面に目立てして彫りはじめるのがスタンダードな方法だが、本来その考え方より多くの番数の異なる道具を使いこなして、作品中のマチエールをコントロールする方がいいのだろうと感じている。 僕は基本65番が好きだが、50番・65番・85番・100番・133番という順でもっていて使い分けている。もっぱら65番と85番が好きだが、場合によりけりである。また、それとほとんどの人は購入時の角度で使っていると思うが、先端部を電動工具を使って鋭角に研ぎ直すと目の立ち方がぐっと良くなる。ベルソーも刃物の一種なので、こまめに研ぐと目の立ち方が全く違ってくる。また、この角度によっても目立ての感じが変わってくるので、好みの感じを探す必要があるだろう。 またベルソーの使い方だが、日本ではベルソーは前に進めて行く場合が多いが、フランスでは手前に進めて行く人もいる。この方法で掛けると刃物が大きく湾曲して動くのでベルソーの目立ての模様が弓形に出てくる。これも好みだが、僕は手前に掛ける方が合理的で綺麗に掛かると思う。まあフランスで繊細なメゾチントを作る作家は手前に掛けているでこれも好き好きだろう。 ベルソーの使い方としてはメゾチントで有名な長谷川潔は、16本のベルソーを持ち、使い分けていたという証言もあるし、浜口はベルソーで描きながら製版を進めていたという。浜口は元々東京芸大(現)の彫刻科に入学してから中退して、フランスでこの技法に取り組んだが、この製版の方法は、どこか彫刻的でもあるように思う。 現在多くの作家が技法書にあるスタンダードな方法として、最初に決めたベルソーを使って、出来るだけ均等に目立てをしてからはじめるが、あまりその方法にとらわれずに、いろいろな番数の組みあわせやかけ方で、目立てに工夫をしてもいいのではないかと思う。 昨日も書いたが、メゾチント作品の個性はベルソーで目立てした状態が最終的なマチエールとして大きく影響してくるので、最初から丁寧に作業を進めていくことが大切だと思う。 まあこれは僕の経験論なので、作家によっては全く違うこと言いますね。今日は簡単に書いたので、また詳しく書いてみたいと思います。 ◎写真はEC LYONS社の10㎝。手作りのためにそれぞれ形状が違います。中にはアルファベットの記号が刻印してあって、きっと制作者のものだと思います。Mのマークが出来がいいように思います。
by guruguru-kobo
| 2014-02-16 09:11
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