1990年中頃、はじめて写真家佐藤時啓の写真を見たとき強い衝撃を受け以後最も好きな作家の一人だ。当時写真に夢中だったこともあったが、写真に全く関心がなくなった今見ても最初見たときの感動が色あせない。
いったいなにがそんなに自分の気持ちを強く引くのか開催中の個展を時間をかけてゆくっり見て回った。わかりやすく書いてあるリーフレットを読んでみると、実家がお寺で。と書いてある。1990年中頃、もう一人とても衝撃を受けた作家がいた。彼の実家もお寺だとどこかに書いてあった。この不思議な共通点を発見してなんとなくしっくりきた。
僕はたびたび書いているが、個人的に傾倒している宗教や思想があるわけではない。だけど、きっと僕が内なる思いとして抱いていることは、仏教の考えにあるようなことなので、そういった環境で育った人たちが作り出す作品になにか僕の注視する事柄をうっすら感じ取っているのかもしれない。