お彼岸にお墓参りに行くとき、お花を持って行く。宗派によってはサカキを持って行くが、お花は欠かさない。僕はそういうものだと思ってこれまで育った。僕の親類は神奈川中央部に集まっているので、比較的同じ価値観の地域性に生きてきたからそういった感覚が養われてきたのだと思う。
妻の実家に彼岸の墓まりにきたら、お花の用意がなく、葉っぱが用意してあった。お花はと尋ねると、三重県のこの地域では、コウヤマキとコハナという日持ちする葉をお花の代わりにお墓に供えると言う。
大きな墓地に伺うと、そこから見える景色は、墓石の灰色とコウヤマキとコハナの葉の緑色が主で、花の色はあまり見えない。地域によって習慣というのは随分異なるものだなあと、自分の見識の狭さを知ることになった。
常識というのは、地域によって随分異なる。話を聞いてエッと思うことでも、まず自分の知識に頼らず、柔軟に見聞きすることが大切だなあと、はじめて体験する異なる彼岸の習慣から学ぶことになった。