昨年から飽きずにメゾチントの目立てを繰り返している。いろいろな機械や器具を使って試しているが、どれもこれも上手くいったとは思えない。ここしばらく自宅でせっせと目立てしているが、おもりと研ぎのバランスが悪かったのか、ぐちゃぐちゃになってしまった。ああ、数十時間と高い材料費が泡と消えたのか、はたまた見たことのないような素敵な模様になって、素晴らしい作品に変貌するかは、今は全く分からない。
実験に次ぐ、実験は、全く見通しの立たない未見の状態を生み出し続けている。これまでは腐蝕によって、そのような状態が常に作りだされたが、今は直接法のメゾチントでも、同じような現象が起きている。たぶん、僕は相当に不器用なのだと思う。
そうでなければ、普通に綺麗な目立ての版が出来てもいい。だってプロだし、先生もしてるのに。教える時は失敗しないけど。うーん。どうして一人でするときに人並みに出来ないのか。悩ましい所でもあるが、一生懸命に取り組めば取り組むほど、外れていくのはなぜか。
目立ての事を話すと、それは修行のようですね。と言われたことがある。まさに、自問自答を繰り返す問答のような仕事だ。