今春も引き続き
多摩美術大学生涯学習センターで、銅版画の講座を担当させていただくことになりましたので、今春の講座をご案内させて頂きます。
担当講座は3講座ありますが、今日は一人で講師を担当する「銅版画基礎講座B」について。この講座では毎回専門性の高い技法を紹介しています。今年は昨年の秋に引き続いて、近年発展してきた水溶性の溶剤と、従来の油性溶剤を使用する制作にチャレンジします。
この講座では、水溶性のハードグランド(ウォーターグランド)をエアブラシで吹き付けることで出来る面の作り方(アクアチント)と、従来の油性ハードグランドによる線の表現(エッチング)を一つの版の中で混合して制作する方法を学びます。水溶性ハードグランドでの上手な描画のコツなんかも紹介しています。
難しいようですが、従来のアクアチントでの高度な表現、例えばグラデーションにする、あるいは型を置いて模様を作るなどの表現が、簡単にできるようになりました。使用に適した道具や溶剤の使い方など、講座では丁寧に解説して行きます。(写真は昨年秋の講座のもの)
アクアチントを使った面の表現の完成後に、従来のグランドを使用した基本的な線によるエッチングを行います。ここでは、使用するニードルによる線種の違いや、腐食による線の変化を分かり易く紹介していきます。写真は昨年秋に受講生が制作したものを、ご本人の許可を得て掲載しております。この作品は色を変えて上下逆にして2回刷ったものです。
講座では、上記の内容を約30x20cmの版に6回講座で制作していきます。作画は自由ですので、制作者のご希望によって内容は変化していきます。道具は持っていなければ基本的に貸し出していますので大丈夫です。
経験者の方には、これまでの制作のステップアップに、はじめての方には丁寧にプロセスを学べる講座です。みなさん一緒に銅版画を楽しみましょう!