この写真を見たとき、いつだったか同じような風景を見たことがあるような気がした。不思議と懐かしい気持ちに惹かれ、展覧会を訪ねた。会場を見回すと、忘れ去っていた記憶がよみがえった。
70年代の終わり、小学校の授業でナイフを持って近隣の森に散策に出たことがあった。その授業で、食べるものがなくなったときは、この植物(イタドリ)を食べるといいと食べ方を教わった。
日本が十分に豊かな時代にさしかかる時期だったと思うが、貧しい時代を経験した教員達は、いつか来るかもしれない危機に、自分たちの知恵を伝えておこうと思ったのだろうか。今となってはその理由はもう分からないが、生徒にとって思い出深い体験となったことは確かだ。
大都会の真ん中で、数十年前に郊外の山の中を歩いた思い出がよみがえる。1枚の写真の持つ力は強い。