佐藤美術館で現在開催中の諏訪敦展に行ってきた。オークションで非常に高額で取引されていることが話題になっている作家だ。なにかと話題が先行している作家だが、実際みるともの凄いオーラを感じる作品群だった。超絶技法で描かれるモデルは、そこにいるかのように思えるほどの空気感を放っていた。特に印象的だったのは前衛舞踏家を描いた作品だが、老衰で横たわる老人の手の印象が、高齢で他界した祖母の手のようだった。とても澄んだ作家の目線を見た。
この展覧会でもう一つ印象に残ったのは、年代ごとに並べられた作品の変遷である。特に2000年から2007年までの作品は毎年恐ろしい程に、技法も表現も深化して、作家がどれだけ真剣に作品制作に日々取り組んでいるか見て取れるものだった。スペイン留学中から始まる現在の表現スタイルは約10年かけて進化・深化しているとはっきり見て取れる。やはり毎日の修練と共に、一つのことを追いかけるのには10年はかかるという、一つの現実を見たように思えた。とにかくオススメの展覧会であることは間違いない。
佐藤美術館ウェブ
諏訪敦公式サイト