以前、後輩がある国際版画展で入選した記事が新聞に大きく掲載されたことがあった。それをみた父が、「同じコンクールでグランプリを受賞したのに、なんでおまえは掲載されないのだ。」と、起き抜けに文句を言われたことを思い出し、この度の台湾での受賞記事を新聞社などに送ってみた。
しかしそんなことはどこからも返事もなくすっかり忘れていたが、タウンニュースという地域誌に掲載して頂けることになった。取材に来たライターの方は根掘り葉掘り聞いてくれるのだが、版画のことは当然全く知らなくて、一から十まで説明をしてみた。
「では早速記事にしますね。」と、帰ると、また電話が来た。いろいろ考えて見た結果人物風土記という人物の紹介ページに掲載したいとのことで、再度取材に来てくれた。
ノートを広げると、なにやら話したことを順序立てて図にしているのだが、それが実に面白い。まるで自分史である。
しかし話せば話すほど、僕はなんの趣味もないし、愉快な話が全くない。どうも整理するとこれまでの人生は、何度かの挫折の末、なんとなくこの場所に落ちついているようだ。と、いうことが、僕の証言で分かった。
あーあーなんて面白くない半生だと、ちょっと反省した。
しかし、インタビュアーの人は僕の半生があまりに偏った人生で、逆に物珍しいようでもう本当にそんなことまで必要なのかというくらい、根掘り葉掘り聞いてくれた。
最近、忘れた頃にインタビューを受けることがあるが、その時々に活字になった自分を客観的にみると、ほんとに平凡な人生だなあと笑ってしまいます。